青森千畳敷海岸 田中屋へ!
さて翌朝、当日の観光日程の相談にフロントへ“駅までの送迎バスはさっき出てしまいました。”
ジャーこのホテルから観光地へは?
観光バスは無い?レンタカーは青森駅まで行かなければ無い?仕方ないタクシーを呼んでもらってこの地域を案内して貰う事にした。
先ずはこの地自慢の千年甕杉(カメスギ)、県の天然記念物、幹回り8.2M高さ30M。
重厚な千年甕杉
そしてその先、車で5分程、幹回り22Mの北金が沢の千年イチョウの木・・“日本一なんですよ”これはスゴイ!しかし観光客は全くいない?その上丁寧に管理されている様子もない?
日本一の千年イチョウの木
・・失礼だがこの寒村の千年前はどんな村だったのだろう?地元の豪族“安東氏”が納めていた頃は魚が豊富に採れてこの地域も豊かだったらしい。
千年甕杉、千年イチョウなぜもっと観光名所として売りにすれば良いのに?
都会の造られたレジャー施設より数倍落ち着く・・年のせいかな?運転手曰く“ここは観光コースに入っていない”のだそうだ。
僕は早速千年杉の幹に手を当てて千年の“気”を貰い元気タップリで次の目的地へ!
千年の”気”を・・・
聞けばこの地域全体が白神山地の世界遺産に登録されているとの事?これまたビックリ、平泉の中尊寺とか姫路城なら出口と入口が有り解り易いが、連なっている山全体が世界遺産?やはり同じような質問が多いのだろう白神山地のイメージを縮小した2KM~3KMのモデルコースが何種類か有るとの事、コースによってはガイドを付けなければ危険らしい。ツキノワグマも居るし日本猿も居るらしい
世界遺産「白神山地」
僕はタクシー運転手お勧め十二湖めぐり青池、涌壺の池等をめぐる最短コースの“世界遺産めぐり”を選んだ。
神秘的な青池・沸壺の池
ブナやナラの生い茂った原生林の中を一時間少々歩いた。木漏れ陽のさす大自然は夏でも涼しく足元に何千年もの落ち葉の歴史を感じながらの森林浴は久し振りの爽快感が有った。一時間程歩くと心地よい小汗をかいた。時計を見るとPM1:30少々腹が減った。
そこで運転手と昼食場所について相談。ここから2時間くらいかかるが津軽国定公園の千畳敷海岸に“田中屋”が有る。
そこのおかみ、津軽弁で話が良く判らないだが気持ちが良く評判が良いとの事。OKそこにしよう!
途中海岸沿いにしゃれたレストランやピザハウスも有るが、美味しい地元の新鮮な魚料理が食べたい!
近年テレビで有名になったブサイクだけど可愛い秋田犬“わさお”が居る“焼きイカ街道”を抜け田中屋へ!
今や有名人?のわさお君
2時間くらいでこの地域の観光スポット“千畳敷海岸”へ着いた。日本の夕陽百選にも選ばれているそうだ
千畳敷海岸!癒しのスポット
その入り口に“田中屋”が有る。アルバイトの青年が店の前でイカを焼いている。
田中屋さんの店先・・・のどか
中に入ると“魚が美味しい店”のイメージとは少し違う?
麦わら帽子やビーチボール等を天井から雑多につるしている。“何だ海の家か?”すると奥から小柄な太ったお母さんが来て“イキヤッシャイ”(いらっしゃい)“ナンバシマスダナ?”(何しましょう?)“ココヘスワリマレ(どうぞこちらへ)“ナ、初マナクテダバネノ”(アンタ初めてではないね?)“いや初めてよ”“ンダンジカナニカクウ”(そうか何食べる?)
テーブルの上にメニューが無い?よく見ると天井のすぐ下に黒くなった品札が何枚かぶら下がっている。
よく読めない。
メニューらしき物が・・
“この時期、刺身の美味しい魚は?”“ウチハナンダバメトクサイカトカヒラメが?”(うちは何でも旨い特にイカとかヒラメが)・・・
名古屋からこの時期手伝いに来ているという妹が通訳してくれる。“ジャそれお願いそれとビール”・・やっと普通の会話になった。
名物女将さんとお姉さん
しかしお母さん津軽弁が激しくて半分くらいは判らない。海外旅行でもこの程度通じない会話力には慣れている。
判らない会話は飛ばして用件だけを言った。岩ガキ、カサゴの煮つけ等を次々頼んだ。・・出された刺身とてもおしゃれに盛り付けられたとは言えない。漁師たちが船の中で採った魚の盛り付けはこんな感じではないのかな?
お母さん、気に入ってくれたのか僕の横に座ってお酌を始めた。“イカノシオカラバ持ってコナガ”(〇○ちゃんイカの塩辛を持って来なさい)ハーイ、これまた瓶ごと箸を突き刺したまま。“コイメカキヤ食ってミロ”(これ美味しいから食べてみろ)今思うとこれが一番うまかった。
話がはずみ?酒も進む・・
よく見ると店中にスポーツ選手や俳優の色紙や写真がベタベタ貼られている。
“2年前サ巨人軍の高橋選手コガ来タンダ”へー何しに?“ヨク私カキヤネガ来タ”(良く判らないが来た)“コノ次ハ長嶋監督ド来ルド言ッテイタガ?”“長嶋監督は無理ダベノ”・・
有名人?のサインがズラリ
この地域は町中に秋田犬“わさお”のポスターが貼られている。
東映映画「わさお」のポスター
2年前にこの町で撮影が有ったらしい。その時、薬師丸ひろ子や芸能関係者がその期間中チョクチョクこの店へ寄っていたらしい。その映画のおかげで日本全国に知れ渡りその後も県外からの旅行者が相当増えてこの田中屋も一気に有名になったのだろう。特に海辺のこの場所の冬の寒さは相当らしい。海辺に面して鉄道も有るが波で凍ってたびたび運休になるとの事。
その上バスも雪が深く運休する事が多いらしい。人口1万人そこそこのこの町にも充分観光資源は有りそうだが整備されていない。夏のシーズンしか観光客は殆ど来ないのでは?その中で60年近く商いをしている。相当芯が強くなければやっていけないだろう?
このお母さん、自慢話や苦労話を色々してくれた。話が面白く知らないうちに1時間程経った。“ジャーお母さんまた来ます。”
“マタヨッテガサマイ”・・ン?・・どうも挨拶らしい。ほんのひと時ほのぼのとした気持ちにさせてくれた。
津軽の肝っ玉母さんと・・
東京の住まいの近くでこんなキップのお母さんが小料理屋をやっていると仕事帰りに時々立ち寄るかもしれないなー?
水江 一正