タウンジーのインレー湖で幸せを貰って来ました
幻想的なインレイ湖
今回のミャンマー訪問でミャンマーの日本語留学生“ワディー”の陽気なお父さんお母さんにも会う事にした。
幸い“ワディー”は今春、日本の“M大学”に入学が決まった。彼女もこの正月を利用して1年半ぶりに帰国するらしい。故郷はシャン州のタウンジー市、人口20万人ミャンマーでは3番目に大きな都市らしい。
海抜1400M、かなりの高地だ市政も安定しておりミャンマーでは最も美しい都市にランクされている。
綺麗なタウンジーの街並み
ヤンゴン空港から飛行機で1時間少々で“HEHO飛行場”到着。真っ黒に日焼けしたワディーのお父さんとお母さんがニコニコと迎えに来てくれていた。
ワディのお父さん(怖い顔をしているけどとっても優しい)とお母さん
衣服は夏物で?と軽い気持ちで支度していたがとんでもない。ヤンゴン市より10℃近く低い、この国の避暑地だそうだ。
お父さんはこの町で永年修理工場を営んでいる。以前は日本からハイラックスのエンジン、タウンエースのシャシー等、
色々なメーカーの部品を輸入して自社制オリジナルのJEEPを造っていたそうだ。
200人以上のスタッフを抱え相当忙しかったらしいが政府の度重なる政策変更の為ダメージを受けたとの事。広い工場はそのままだ。技術も有るし特殊機械も揃っている。モッタイナイ、ミャンマーでは未だメジャーではないがバス、トラックなど移動販売車、高齢化に向けた福祉バスの改造車等などの改造工場にすれば良いのに・・と思う。
ミャンマースタッフのザニー君に“今回は少し仕事を離れた時間も取ってくれないか?”頼んでおいた。
気を利かして“タウンジー”を選んでくれたのだろう?
この日のホテルはタウンジーでは新しく出来たばかりだが部屋にはエアコンが無い(年間を通してエアコンは要らないらしい)しかし僕には寒く毛布を一枚増やしてもらった。
ホテルから見た朝もやの中のタウンジー
翌朝シュエポンポイン山の山頂にあるシュエポンポイン寺を訪問した。
シュエポンポイン寺のパゴダ
200年ほど前に発掘されたお寺らしい。今はきれいに修復され金色に輝いている。このお寺からタウンジーの街が
一望に見下ろせる。
大きなビルも工場の煙突もないせいか空気も澄んでおり市内を歩いている人まで良く見分ける事が出来る。
“あそこの緑の三階建てがワディーの家だ”“どこどこ?”等と言ったように。40数年前、僕が子供の頃過ごした故郷、岡山で池田動物園のある京山へ登った事を思い出した。
ここからワディの家も見える!どこ?
翌日はミャンマーで2番目に大きいと言われている“インレー湖”へ、ミャンマー4番目の観光名所だそうだ。
その湖の中に“YAY THAR”と言う僧院が有る。そこの住職〟U WAI PONE LA”さんはワディーのお父さんと幼馴染だそうだ。そこで昼食を取る事になって居るらしい。
AM9:00ワディーのお父さんが青いハイラックスで迎えに来てくれた。そのタウンジーのホテルから約1時間くらいで湖岸についた。その船着場には無数のミニトマトが・・(この地域はトマトの名産地だそうだ、青いトマトの時期から赤く熟れるまでそこに保存しているらしい)。
ミニトマトが無造作に置かれている
そこから7人乗りのエンジン付木製のボートでその寺に向けて出発。この時期乾季ではあるが少々寒い、しかし天気は良いし快適だ。
オーソドックスなボート
この湖、水深は3M位しか無いらしい。両岸に添って立ち並ぶ水上の家屋はこの国で良く見かける風景だが、水上に浮かぶ畑?ン?・・たしかに陸続きでは無い、そこに野菜や花がぎっしり育っている。どうも雑草や藻を集めて繋ぎ合わせて杭で支えて畑にしているらしい。その畑、湖の水量によって上下するらしい。畑の位置も時々移動する事が有るらしい、ユニークな発想だ。
インレー湖の水上農園
この湖には近くの大自然から流れ込むタップリと栄養が有るのかあまり手間はかからないように見える。特にミニトマトは毎日相当取れるらしい。
インレー湖のトマト畑
湖のほぼ中央に有名な水上寺院“ファウンドウーパゴダ”が有る。
そこには5つのご本尊が有り参拝に来た人達は入り口で買った金箔をご本尊に張り付けるのだ。
みんなで寄ってたかって金箔を(有料である)
“どうぞ今年も御利益が有りますように!”そう言えば今日は元旦だ。そのご本尊、同じように参拝者のほとんどが金箔を貼る為、ご本尊が隠れて金のボールになっており原型が無い。理由はわからないが女性は参加できないそうな。
ご本尊様は何処?
気が付けばもう昼前、再び乗船して最終目的の〝YAY THAR寺“へ、そこから10分もしない場所にそのお寺は有った。
我々の船が岸に近づくと小中学生?の男女数十名がかけ寄って来て手を差し伸べて我々を船から引き揚げてくれた。
ミャンマーを背負う子供たち
そして本堂に向かう道の両側に整列して迎え入れてくれる。全員同じユニホームだ。みんな笑顔でニコニコとしてどの子も目のきれいな少年少女達だ。
生徒たちの修行の時間(この後におやつが頂けるらしい)
“ここはどういう寺なんだろう?”そしてそこの住職らしきお坊さん“サー皆さん昼食のご用意をしてお待ちしておりました”・・多分そういったのだろう??食卓の上には物凄い御馳走が並んでいる。
珍しい物ばかり・・
早速、訪問者全員で昼食を取る事になった。この国の民族料理は主食の米を大量に食べる習慣が有るらしい。
そのご飯に副菜をかけてカレーの様にして食べている。普段は指で食べるらしいが、日本から来ているとの事で気を使ってくれたのかお箸が出ている。
一般的に味が濃く脂っこい揚げ物が多い、胃の弱い僕はこの国で食事を取るときには中華料理を中心にしている店を選んでいる。しかしこのお寺で出されたどの料理も美味しく頂けた。
中には魚のから揚げや“トムヤンクン”の様なエビと魚のスープ等も出た。僧院なのにこの辺りが日本の精進料理とは違うところかな?
ビールが無いのが少々残念だったが・・その後、住職のお説教?があり(良く判らなかったが?)そしてお開き。
有り難いお説教・・通訳して欲しかった
その住職の顔つやが良い。お父さんより数歳若く見える。聞くと食事はAM5:30とAM11:00の2食だけ何と過酷な生活なんだろう?
その㔟も有り心身が相当鍛えられているのだろう?ところで先程来気になって居たあの目のきれいな少年少女達は・・?この子たちは孤児や育てられない家庭の子供たちを高校に入学するまで預かっているのだそうだ。テキパキと言われたことを嫌な顔一つしないでこなしている。野菜などは裏にお寺の畑が有るし近くの農家から届けてくれる。
福祉団体からの寄付も相当あるのだそうだ。“へー?”何だかミャンマー国民の懐の深さを感じさせられた。
(ワディのお母さんもこの僧院から女の子を一人養女にしていて成人になるまで面倒を見るそうだ)
観光旅行者では知る事の出来ないであろうミャンマー人の美しさを感じた。
失礼ながらこの国は軍政で荒れており決して豊かと思って居なかったから・・とんでもない思い違いだった事を恥じた。
この様にして育った子供たちが又、次の子供達を助けながら育てる。そして本物の豊かな国になっていくだろう。
異国のお寺での食事はもとよりいろいろ考えさせられたお寺だった。僕は何もしていないのに何となく心が洗われた気持ちになった。
いつか又もう一度来てみたいYAY THAR寺だ。
水江 一正